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液だれ・糸引きが起きる本当の理由と高粘度ディスペンサーでの解決策

twotwe, 2026年2月27日2026年3月5日

製造現場で「接着剤がノズルから垂れて周囲を汚してしまう」「吐出後に液が糸のように伸びて製品に付着する」といったトラブルに頭を抱えていませんか?

これらは「液だれ」「糸引き」と呼ばれる現象で、外観不良や機能不良の原因となるだけでなく、清掃作業の増加や生産ラインの停止など、現場の生産性を大きく損ないます。しかし多くの現場では「設定を少し変えてみる」「ノズルを交換してみる」といった対処療法に終始してしまい、根本的な解決に至らないケースが少なくありません。

はじめまして。私は製造現場の生産技術コンサルタントとして15年以上にわたり、自動車部品・電子部品・住宅設備など幅広い業界で接着剤・シール剤・樹脂の塗布工程の改善に携わってきました。この記事では、液だれ・糸引きが「なぜ起きるのか」という根本原因を丁寧に解説したうえで、高粘度材料に対応したディスペンサーを活用した実践的な解決策をご紹介します。

目次

  • 1 液だれ・糸引きとは何か
  • 2 液だれ・糸引きが起きる本当の理由
    • 2.1 理由①:液剤の粘弾性と吐出圧力の残留
    • 2.2 理由②:チキソトロピー性の誤解
    • 2.3 理由③:ディスペンサーの方式が液剤特性に合っていない
    • 2.4 理由④:ノズル選定・温度管理の問題
  • 3 液だれ・糸引きが現場に与える影響
  • 4 高粘度ディスペンサーによる解決策
    • 4.1 鍵はポンプ方式の変更
    • 4.2 プランジャーポンプ式ディスペンサーの強み
    • 4.3 サックバック機能の活用
    • 4.4 ノズルと温度管理の最適化
  • 5 高粘度ディスペンサーを選ぶ際のポイント
  • 6 まとめ

液だれ・糸引きとは何か

まず、二つの現象の違いを整理しておきましょう。

液だれ(タレ)とは、吐出を停止したにもかかわらずノズル先端から液剤が垂れ落ちてしまう現象です。ノズルの位置移動中や次の塗布ポイントへの移行時に発生し、意図しない箇所に液剤が付着します。

糸引きとは、吐出終了後にノズルを引き上げる際、液剤が糸状に伸びてノズルと塗布面の間につながり続ける現象です。粘度の高い液剤ほど、この糸が長く伸びやすく、最終的に糸が切れた際に飛び散りや細かな付着物を生じさせます。

どちらも「ノズル周辺の液剤のコントロールが不十分な状態」で発生するという点は共通しています。しかし、その根本的なメカニズムには違いがあり、対策のアプローチも異なります。

液だれ・糸引きが起きる本当の理由

理由①:液剤の粘弾性と吐出圧力の残留

液だれ・糸引きの最大の原因は、液剤の「粘弾性」にあります。高粘度の接着剤やシール剤・グリスといった液剤は、ただ「重い(粘度が高い)」だけでなく、弾性(元の形に戻ろうとする性質)も合わせ持っています。

吐出中、液剤にはポンプや圧力によって強い力がかかっています。吐出が終了してもこの「圧力の残留」がすぐには解消されず、ノズル内部の液剤が押し出され続けてしまうのです。これが液だれの主因です。

糸引きについては、接着剤などに含まれるポリマー分子が鎖状に絡み合っているため、ノズルを引き上げた際に分子間の結合が瞬時に切れず、糸状に引き伸ばされてしまうことが主なメカニズムです。

理由②:チキソトロピー性の誤解

製造現場でよく見かけるのが、「高粘度だから糸引きする」という理解のみで対策を考えてしまうケースです。しかし実際には、チキソトロピー性(外力がかかると粘度が下がり、静置すると粘度が戻る性質)が大きく関係しています。

接着剤やシール剤の多くはチキソトロピー性を持っています。吐出直前はポンプの力で粘度が下がり流れやすい状態になっていますが、吐出が終わった瞬間から粘度は回復し始めます。この「粘度の回復途中」の状態では、液剤は「流れるほど軟らかくはないが、すぱっと切れるほど固くもない」という性質を示し、これが糸引きを助長します。

はちみつをスプーンですくったとき、糸を引きながらゆっくり落ちていく様子を思い浮かべると、この状態がイメージしやすいでしょう。

理由③:ディスペンサーの方式が液剤特性に合っていない

特に根本的な問題として見落とされがちなのが、ディスペンサーの吐出方式が液剤の特性と合っていないケースです。

一般的なエア圧送式(タイムプレッシャー方式)のディスペンサーは、エア圧力によってシリンジやタンク内の液剤を押し出す仕組みです。この方式は低粘度から中粘度の液剤には向いていますが、高粘度液剤では以下のような問題が起きやすくなります。

  • 吐出停止後もエア圧力が液剤に残り続け、液だれが止まらない
  • 粘度の変化(温度変化や液剤残量の変化)で吐出量が安定しない
  • 高粘度液剤を十分に押し出せず、吐出量不足が発生する

エア圧送式は吐出量の制御を「時間と圧力」で行うため、液剤の粘度変化に直接影響を受けます。朝と夕方で室温が違うだけでも粘度が変わり、吐出量がバラつくことがあるのです。

理由④:ノズル選定・温度管理の問題

液剤特性やポンプ方式の問題に加えて、以下の二点も液だれ・糸引きの要因になります。

  • ノズルの内径・形状が合っていない
    高粘度液剤に対して内径が太すぎるノズルを使うと、停止時に液だれが起きやすくなります。先端に向かって細くなる「テーパー形状」のノズルは、液切れを良くする効果があります。
  • 温度管理が不十分
    多くの液剤は温度によって粘度が大きく変化します。室温が低い冬場は粘度が上がって吐出しにくくなり、逆に夏場は粘度が下がって液だれが増えることがあります。特に樹脂系の接着剤は数℃の変化だけでも粘度が大きく変わることがあるため、液剤の温度管理は非常に重要です。

液だれ・糸引きが現場に与える影響

液だれ・糸引きを「多少のことだから仕方ない」と放置していると、現場に深刻なダメージをもたらします。以下のような悪影響を確認してみてください。

  • 製品の外観不良・機能不良(意図しない箇所への液剤付着)
  • 拭き取り・清掃のための余分な人員と工数の発生
  • 生産ラインの停止(チョコ停)による生産効率の低下
  • 液剤の無駄遣いによる材料コストの増大
  • 製品クレームや品質トラブルによるブランド信頼性の低下

ある化学品メーカーでは、液だれ拭き取りのためにアルバイトスタッフを6名追加配置していたという事例も報告されています。液だれ・糸引きの解決は、単なる不良対策ではなく、人件費・材料費・品質コストを含む生産全体の改善に直結するのです。

高粘度ディスペンサーによる解決策

鍵はポンプ方式の変更

液だれ・糸引きの根本解決には、液剤の特性に合ったポンプ方式のディスペンサーへの変更が最も効果的です。高粘度液剤の場合、エア圧送式ではなく「容積計量式」のディスペンサーを選ぶことが基本方針になります。

容積計量式とは、ポンプの機械的な動き(ストローク)によって一定の体積を押し出す方式です。エア圧力ではなく「体積」で制御するため、液剤の粘度や温度が変化しても吐出量が安定します。

代表的な方式は以下の2種類です。

方式特徴対応粘度の目安
スクリュー(オーガ)式回転するスクリューで液剤を連続的に送り出す。サックバック(逆回転)で液切れを向上させる〜1,000,000 mPa·s程度
プランジャーポンプ式注射器のようにプランジャーを往復させ、精密に定量吐出する。高圧にも対応超高粘度対応(100万 mPa·s超も可能な機種あり)

プランジャーポンプ式ディスペンサーの強み

高粘度かつフィラー(粒子)入り材料を扱う現場では、プランジャーポンプ式が特に有効です。その理由を以下にまとめます。

  • 機械的なストローク量で吐出量を制御するため、粘度変化の影響を受けにくく繰り返し精度が高い
  • ポンプ内圧力を高めることで、非常に高い粘度の液剤でも確実に押し出せる
  • 特殊材質の採用により、研磨性の高いフィラー入り材料でも耐摩耗性に優れる
  • ACサーボモーター駆動で、吐出速度・吐出量をタッチパネルから細かく設定できる

高粘度材料への精密な高粘度塗布対応のプランジャーポンプ式ディスペンサーを検討している方は、ナカリキッドコントロールの製品情報をご参照ください。同社のP-FLOWシリーズ Hタイプは、1〜1,050,000 mPa·sという超広範囲の粘度に対応し、ポンプ内耐圧を19.6MPaまで高めることで超高粘度樹脂の安定吐出を実現しています。タッチパネルによるパラメーター設定、ACサーボモーター駆動による高精度な繰り返し吐出が特徴です。

サックバック機能の活用

高粘度ディスペンサーにおいて、液だれ・糸引き対策として特に重要な機能が「サックバック(吸い戻し)」です。

吐出終了の瞬間にポンプを逆方向に動かし、ノズル先端の液剤をわずかに引き戻す機能です。これにより吐出後の残圧を解消してノズル先端の液剤量をコントロールでき、液だれ・糸引きを大幅に抑制できます。

スクリュー方式ではロータを瞬間逆回転させる方法が、プランジャー方式ではプランジャーを微量引き戻す方法が一般的です。この機能のON/OFFや引き戻し量をパラメーターとして細かく設定できる機種を選ぶと、液剤の特性に合わせた最適な調整が可能になります。

ノズルと温度管理の最適化

ポンプ方式の改善と並行して、以下の対策も併せて実施することで、より高い効果が得られます。

  • テーパーノズルの採用:先端に向かって内径が細くなる形状のノズルは、液切れを良くし糸引きを抑制する効果があります。これだけで糸引きが解消するケースもあります。
  • 内径の見直し:高粘度液剤には適切な内径のノズルを選定することが重要です。細すぎると詰まりや圧力上昇の原因になり、太すぎると液だれが増えます。
  • 液剤の温度管理:ヒーター付きタンクや液剤タンクの保温により、粘度を一定に保つことで吐出の安定性を高めます。季節ごとの室温変化がある現場では特に効果的です。

なお、キーエンスの塗布装置関連情報では、高粘度FIPG・CIPGの自動塗布において機械式ポンプのディスペンサーロボットが広く採用されている実態が紹介されており、自動車や電子部品分野でも容積計量式への移行が進んでいることが確認できます(キーエンス:ディスペンサの種類と用途)。

高粘度ディスペンサーを選ぶ際のポイント

実際にディスペンサーを選定する際は、以下の5つの観点を確認することをお勧めします。

  • 使用する液剤の粘度範囲と特性
    フィラー入りかどうか、チキソトロピー性の有無、温度依存性の大きさを把握する
  • 必要な吐出量・精度
    1ショット当たりの吐出量の範囲と、求められる精度(±何%以内か)を明確にする
  • 生産タクトタイム
    1日当たりの吐出回数と速度要求から、ポンプの耐久性も含めて検討する
  • メンテナンス性
    接液部品(ポンプ、ノズル、配管)の分解・洗浄・交換のしやすさを確認する
  • サポート体制
    導入後のトラブルに対応してもらえるメーカーやサポート体制の充実度を確認する

特に、導入前のテスト塗布(実機テスト)に対応してくれるメーカーを選ぶことを強くお勧めします。液剤は種類によって挙動が大きく異なるため、カタログスペックだけでは判断しきれないケースが多いからです。

まとめ

液だれ・糸引きは、「粘弾性」「チキソトロピー性」「ディスペンサーの方式」「ノズルと温度管理」という複合的な原因によって発生します。対処療法で現象を抑えるだけでなく、液剤の特性に合ったディスペンサーを選定することが根本的な解決につながります。

今回のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 液だれはノズル内の圧力残留が主因。糸引きは液剤の粘弾性とチキソトロピー性が主因
  • エア圧送式では高粘度液剤の制御に限界がある。容積計量式(スクリュー式・プランジャー式)への変更が根本解決の鍵
  • サックバック機能の有効活用で液切れを大幅に改善できる
  • テーパーノズルへの変更と液剤の温度管理を併用すると効果が高まる
  • 導入前の実機テストを必ず実施し、自社の液剤・工程条件での動作を確認する

製造現場の生産性と品質を向上させるために、まずは現状の液だれ・糸引きの原因をしっかりと分析することから始めてみてください。適切なディスペンサーを選定することで、清掃工数の削減・不良率の低下・材料ロスの削減など、現場に大きな改善をもたらすはずです。

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  • 1 液だれ・糸引きとは何か
  • 2 液だれ・糸引きが起きる本当の理由
    • 2.1 理由①:液剤の粘弾性と吐出圧力の残留
    • 2.2 理由②:チキソトロピー性の誤解
    • 2.3 理由③:ディスペンサーの方式が液剤特性に合っていない
    • 2.4 理由④:ノズル選定・温度管理の問題
  • 3 液だれ・糸引きが現場に与える影響
  • 4 高粘度ディスペンサーによる解決策
    • 4.1 鍵はポンプ方式の変更
    • 4.2 プランジャーポンプ式ディスペンサーの強み
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